GDX株式会社

CASE STUDY / 製造業

製造現場の「探す・待つ・属人化」をまとめて改善。製造時間を16時間から3時間へ、売上約1.8倍を実現した業務改善事例

従業員30名の製造業で、製造の流れ全体を見直した事例です。

受注はあるのに、生産が追いつかない。利益の大きい主力製品をつくれるのは、ベテラン作業者だけ。部品が切れれば、製造も止まる状態でした。

従業員30名の製造業で、作業場の配置、製造手順、在庫管理、品質基準、役割分担をまとめて見直した事例です。人員を増やさず、主力製品1台の製造時間を16時間から3時間へ短縮。売上は前年度比で約1.8倍に伸びました。

受注は伸びても、利益の柱をつくりきれなかった

主力製品の受注増に生産が追いつかず、機会損失が生じていた状況
利益の柱である主力製品の受注に、生産が追いついていなかった状況

今回支援したのは、法人向け製品を製造・納品するA社です。扱う製品は大きく2種類。なかでも主力製品は売上の40%以上を占め、もう一方の製品と比べて2倍以上の利益を生む高単価品でした。

ところが、受注の伸びに生産が追いつきません。注文を取りこぼしたり、お客様をお待たせしたりする状況が続いていました。

「一番利益が出る製品を、もっと作れるようにしたい」。この相談から、製造現場の見直しが始まりました。

生産を止めていたのは、5つの「決まっていない」

配置、属人化、在庫、品質基準、役割分担という5つの課題
5つの課題が重なり、主力製品1台の製造に16時間かかっていた

主力製品の製造現場を確認すると、作業者の腕ではなく、置き場所や手順、判断基準が決まっていないことに原因がありました。

置き場所:設計図・工具・部品が散らばっている

必要なものの定位置がなく、探す時間と取りに行く時間が作業のたびに発生していました。

手順:ベテラン作業者にしか分からない

手順書がなく、主力製品をつくれるのは特定の作業者だけ。勘やコツが言葉になっていないため、ほかの人には任せられない状態です。

在庫:部品の残数を確認できない

在庫を管理する仕組みがなく、不足に気づくのは製造の途中でした。そのたびに作業が止まり、仕入先への急な発注が続きます。

品質:完成品の合否を判断する基準がない

どこまで仕上げれば合格なのかが曖昧で、念のための手直しが重なっていました。作業者と責任者の判断が分かれることもあります。

役割:在庫確認と発注の担当が曖昧

在庫の確認と部品の発注は作業者任せ。部品が減るたびに離れた事務所へ足を運び、電話やFAXで発注していました。担当が定まっていないため、発注や確認の行き違いも起きます。

一つひとつは小さな問題に見えても、重なれば主力製品の生産量を大きく削ります。

まず、観察と計測で詰まりの原因を確かめる

観察、聞き取り、時間計測から原因ごとの改善策を決める進め方
観察・ヒアリング・時間計測で事実を集め、詰まりの原因を特定

改善策を決める前に、主力製品ができるまでの流れを最初から最後まで観察しました。作業の様子は写真と動画で記録し、工程ごとの所要時間も計測。経営者、現場責任者、作業者、事務担当から、それぞれの困りごとを聞き取っています。

記録と数字を並べることで、製造時間を押し延ばしている原因が明確になりました。経営者と現場が同じ事実を見ながら、どこから直すかを決められる状態です。

配置・手順・在庫・品質・役割を、一つの流れとして整える

配置、作業手順書、在庫管理、品質基準、役割分担の5つの改善
5つの課題に対応する改善を、製造の流れ全体で実施

5つの課題は互いにつながっていたため、一部だけを直すのではなく、製造の流れ全体を組み直しました。

  1. 01

    探さず、取りに行かずに済む配置へ

    紙の設計図はタブレットで閲覧する形へ変更。工具は一緒に使う消耗品とセットにし、使用頻度の高い部品ほど手元に近い場所へ置きました。

    作業順に合わせて配置と動線を整え、移動を最小限に抑えています。

  2. 02

    ベテランの勘とコツを、手順書にする

    特定の作業者にしか分からない業務を棚卸しし、全工程を見える形にしました。勘やコツは聞き取りを重ねて言語化。文章だけでは伝わりにくい部分を写真で補い、ほかの作業者でも同じ手順でつくれるようにしています。

    ベテランの技能を次の世代へ引き継ぐための土台にもなりました。

  3. 03

    部品の在庫を、誰でも確認できるようにする

    部品の種類が多くても、何がいくつあるかを確認できる在庫管理の仕組みを導入しました。作業場のタブレットから在庫を見られるため、離れた事務所まで確認に行く必要はありません。

    あわせて、在庫を確認するタイミングも社内ルールとして定めています。

  4. 04

    写真を使い、完成品の合否をそろえる

    これまでに製造した製品を洗い出し、基準を満たすものと、お客様から指摘を受けたものを部位ごとに撮影しました。写真を見ながら現場責任者とすり合わせ、合否の基準を明確にしています。

    作業者が迷わず判断でき、必要以上の手直しで生産が遅れない状態へ切り替えました。

  5. 05

    作業者を発注業務から切り離す

    現場作業者、現場責任者、事務の役割を整理しました。作業者任せだった在庫確認と部品の発注は、事務が担当する形へ変更。作業者は事務所との往復から解放され、製造に集中できます。

数字で見る、改善後の変化

製造時間を16時間から3時間へ短縮し、売上が前年度比約1.8倍になった改善成果
人員を増やさず、製造時間の短縮と売上増加を実現

配置、手順、在庫、品質、役割を一体で見直したことで、主力製品1台の製造時間は16時間から3時間へ短縮。人を増やさずに、約5分の1まで減らしました。

項目改善前改善後
主力製品 1台の製造時間16時間3時間
主力製品の売上―前年度比 約1.8倍
主力製品を担当できる人ベテラン作業者のみ手順書に沿って他の作業者も担当
部品の発注欠品のたびに仕入先へ急な発注事務が在庫を確認して計画的に発注

生産できる量が増え、主力製品の売上は前年度比で約1.8倍に伸びました。人員は増やしていません。

手順書があるため、ベテラン以外の作業者も主力製品を担当できます。製造にかかる時間が短くなり、残業も減少しました。

在庫確認と発注を事務へ移したことで、欠品のたびに仕入先へ急な発注をお願いする事態も解消。役割と品質基準がそろい、社内の行き違いも大きく減っています。

生産が追いつかないときこそ、人を増やす前に流れを見る

人員追加の前に仕事の流れ、手順と基準、配置と役割を見直す考え方
人を増やす前に、仕事の流れと決め事を整える

受注が増えて生産が追いつかなくなると、最初に「人を増やすしかない」と考えがちです。しかし、現場には売上を生まない時間が隠れていることがあります。

  • 探す・歩く・待つ時間を数字にする:数分のロスでも、人数と回数が重なれば生産量を大きく押し下げます。
  • ベテランの頭の中を手順と基準にする:勘やコツを言葉と写真で共有すれば、特定の人に頼らず、品質を保ちながら製造できます。
  • 設備投資の前に、配置と役割を整える:今回の中心は、新しい機械ではありません。置き場所、動線、手順、在庫管理、品質基準、役割分担を見直した成果です。

GDXは、代表が直接現場に入り、作業の観察・計測から改善策の実行、社内への定着まで伴走します。「受注に生産が追いつかない」「特定の人にしかできない仕事がある」。原因が整理できていない段階でも、お気軽にご相談ください。

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