受注増に、現場のやり方が追いついていなかった
今回支援したのは、商品の入庫・保管・検品・ピッキング・出荷を請け負う物流・倉庫会社です。倉庫では10種類以上の商品を扱い、同じ商品でもロットや使用期限が異なります。販売用と非売品の区別に加え、梱包資材の管理も必要でした。
一方で、置き場所のルールは十分に整っていません。商品や資材が倉庫内に散らばり、必要なものがどこにあるかは作業者の記憶頼み。出荷や在庫確認のたびに、探す時間が発生していました。
受注量が増えるにつれて、残業と休日出勤も増加。忙しいから人手が足りないように見えますが、現場では作業以外の時間が膨らんでいました。
現場で時間を奪っていたのは、3つの分断
改善案を決める前に、入庫から出荷までの作業を観察し、工程ごとの時間を計測しました。経営者、現場責任者、作業者への聞き取りも実施。そこで見えたのは、単純な人手不足ではなく、モノ・人の動き・情報がつながっていない状態です。
モノ:置き場所と区分が曖昧
ロット違い、使用期限違い、販売用、非売品、資材が明確に分けられていませんでした。該当商品を見つけるまでに時間がかかり、似た商品を誤って出荷する原因にもなります。
人の動き:移動と交差が多い
商品棚、検品・梱包の作業台、資材置き場、スタッフの立ち位置が作業順に並んでいません。長い移動に加え、人同士が通路でぶつかる動線も発生していました。
情報:紙と記憶に依存
荷受けや作業の指示はメールやFAXで届き、倉庫では手書きメモを貨物に貼って管理していました。紙が風などで紛失することもあり、入出庫やピッキングの確認は目視が中心です。情報が分かれたままでは、確認の手間とミスを減らせません。
保管・動線・情報共有を、まとめて組み直す
課題は一つにつながっていたため、棚だけ、システムだけと部分的に直すのではなく、保管・動線・情報共有を同時に見直しました。
- 01
商品を探さずに済む保管ルールをつくる
商品、ロット、使用期限、販売用・非売品、資材の区分に沿って、保管場所を再設計しました。さらに、出荷頻度が高いものほど取り出しやすい位置へ配置。新しく入庫した商品を決められた場所へ置くルールも定めています。
誰かの記憶ではなく、決められた場所を見れば分かる状態へ切り替えました。
- 02
入庫から出荷まで、短く交差しない動線にする
商品棚、検品・梱包の作業台、資材置き場、スタッフの立ち位置を実際の作業順に合わせて配置し直しました。不要な往復を減らし、人同士が通路で交差しにくい流れへ変更。大量入庫に対応できる空きスペースも確保しています。
- 03
紙と目視を減らし、バーコードで確認する
既製の在庫管理システムとリングスキャナーを導入し、商品の保管場所を登録しました。入庫・保管・ピッキング・出荷をバーコードで確認できる手順に変更。メール、FAX、手書きメモに分かれていた作業指示もペーパーレス化し、事務所・倉庫・顧客間の情報共有方法をそろえています。
ピッキング工程そのものも組み直し、経験の浅い作業者や短期雇用者でも、同じ手順で進められる形にしました。
数字で見る、改善後の変化
保管場所、動線、確認方法を一体で見直したことで、同じ受注量に必要な作業時間は約30%短くなりました。改善初日だけでも終業時刻が約1時間前倒しになり、その後は残業の常態化が解消。繁忙日には残業や休日出勤が残るものの、以前と比べて大幅に減っています。
| 項目 | 改善前 | 改善後 |
|---|---|---|
| 同じ受注量に必要な作業時間 | 基準 | 約30%短縮 |
| 誤出荷 | ロット・使用期限違いなどが多発 | 80%減少 |
| 保管場所の確認時間 | 探す作業が発生 | 約10分の1 |
| ピッキング担当 | 9名 | 4名 |
| 会社全体の人件費 | 基準 | 約40%削減 |
| 残業・休日出勤 | ほぼ毎日残業し、休日出勤も多い | 常態化を解消 |
人を増やしたり、現場に無理を求めたりした結果ではありません。探す、歩く、紙を確認する、間違いを直すといった時間を減らし、4名でも安定してピッキングできる流れを整えた成果です。
業務量が増えたときこそ、人を増やす前に流れを見る
受注が増えて仕事が終わらなくなると、最初に「人を増やすしかない」と考えがちです。しかし、現場には売上を生まない時間が隠れていることがあります。
- 探す時間を数字にする:数分の探索でも、人数と回数が重なれば大きな負担になります。
- モノと情報を一緒に整える:棚の配置だけを直しても、紙と記憶に頼る確認方法が残ればミスは減りません。
- システム導入とルールづくりをセットにする:道具を入れるだけでなく、誰が作業しても同じ結果になる手順まで決めることが重要です。
GDXは、代表が直接現場に入り、作業の観察・計測から改善策の実行、社内への定着まで伴走します。「受注は増えたのに、残業も増え続けている」「現場のミスが減らない」。原因が整理できていない段階でも、お気軽にご相談ください。